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?U. 各問題点に対するこれまでの取組み

1. FRP廃船処理技術関係

FRP廃船の処理は、現在ではその殆どが「破砕・埋立て」処理であり、大型の建設機械等により大ばらしを行い、破砕機工場まで運んで細かく破砕し、最終埋立処分場に再び運んで処理している。
平成5年に(財)日本海洋レジャー安全・振興協会が日本財団の補助事業として、FRP船体の乾留とガラス線維の溶融を同時に行い、原形のままの船を石塊に変える「移動式FRP廃船処理装置」を開発したほか、民間においても平成6年から7年にかけて三菱重工(株)、下関異業種交流グループの乾留法の処理装置、富士車両(株)の原形のまま破砕処理する装置などFRP廃船処理装置の開発が相次いで発表された。しかし、いずれの技術も肝心な廃船の回収システムの不備、市場により割高な処理費用、リサイクル品のコスト高などが原因で、現在も普及の目処が立つところまでに至っていない。
なお、船舶以外のFRP廃材のリサイクル技術については、FRPを扱う材料メーカーや製品メーカー、廃棄物処理機器メーカーなどで種々の開発が行われているが、主流と目されるメカニカル・リサイクル技術(粉体化技術等)は、木材、金属、塗料、ふじつぼ等の不純物が数多く付着したFRP廃船のリサイクル技術としては、適当でないものが多い。

 

2. プレジャーボート廃船処理体制関係

先に挙げた処理体制上の問題点五つのうち、多少でも対策が取られているものといえば、廃船の放棄に対し海上保安庁が「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律」を適用して「廃船指導票」により港内・海岸の廃船の処理を排出者に求める施策を実施しているケースがあり、広島県において、海上保安庁指導後の受皿として、付属資料1のような通称「広島方式」と言われる一般廃棄物となる廃船の処理システムが実施された。そのほかは、ごく一部の地方自治体が、廃船に関する独自の条例等を定めて自治区域内の廃船の除去を実施しているに過ぎない。
一方、FRP漁船の廃船処理については、漁業系廃棄物対策の一貫として水産庁が指導し、全国漁業協同組合連合会、FRP漁船研究会などにおいて廃漁船処理システム構築の調査研究が行われ、FRP廃漁船処理の問題点の整理と適正処理・リサイクルに関して検討が進められている。

 

 

 

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